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月別アーカイブ: 2025年9月

ももちゃんのおかきだより~part7~

皆さんこんにちは

株式会社米菓桃乃屋の更新担当の中西です。

 

~商品開発と売場設計:“小粒でも勝てる”ラインナップ戦略 🧳🛒~

 

1|コア・バリエ・季節:三層で組む

  1. コア(定番):醤油・塩・海苔・胡麻。売上の5〜6割を担う柱。

  2. バリエ(味変):黒胡椒・チーズ・カレー・ゆず七味・出汁。リピートの口実を作る。

  3. 季節:春(桜塩/菜の花しお)、夏(シークヮーサー/塩レモン)、秋(新米・きのこ)、冬(海老・昆布・黒糖)。話題化と来店動機を担う🌸☀️🍁❄️

2|“食感レンジ”で客層を広げる

  • 堅焼き:噛む満足派。厚焼き・黒胡椒・旨辛が好相性💪

  • 薄焼き:軽やか・上品。出汁塩や白醤油で“色薄×香り高”に。

  • 揚げせん:外サク中ホロ。甘辛だれ+胡麻で“止まらない”中毒性。

  • サクほろ米粉クッキー系:茶請け・ギフト映え🍪(小麦不使用訴求も可)

3|価格帯と内容量:心理価格の“段差”をつくる

  • ワンコイン(日常):300〜600円/小袋(職場差し入れ・自分用)

  • ギフトミドル:1,200〜2,500円/詰め合わせ箱(法要・訪問手土産)

  • プレミア:3,000〜5,000円/地域限定・焼印名入れ・缶入り(贈答)
    同時に**“軽・中・重”の重量感**で、シーンに合わせた選択肢を明快に。

4|売場動線:香りと実演で“足を止める”

  • 入口:実演焼き→香りで引き込み、焼き立て限定を提案

  • 中央:試食台→“堅・薄・揚”の三種比較で違いを体験

  • 奥:ギフト壁面→季節短冊とサンプル箱で“持って帰る姿”を想像させる
    POPは原料・出汁・焼印の意味を物語で書く。「なぜこの味か?」に答えると価格に説得力が増します📝。

5|名入れ・焼印・別注:BtoBの掘り起こし

  • 焼印名入れ:企業ロゴ・式典・周年記念。最小ロットと納期の明確化が決め手。

  • 色付き砂糖掛け:学校・スポーツクラブカラーで映える📣

  • 味の監修コラボ:地元醤油蔵・酒蔵・海苔店と“地域共創”物語を作る。

6|アレルゲン・ハラール・グルテンフリーへの配慮

  • 米菓はアドバンテージ大。小麦・乳・甲殻が入る味は明示。

  • ビーガン対応(魚介エキス不使用)ラインを一部用意→インバウンド需要に強い🌍

7|まとめ

品揃えは“世界観の翻訳”。米と出汁の物語を、食感・価格・包装・実演で伝え切ること。次回はEC/SNS/サステナまで含めた“売れる仕組み”を総仕上げします📣📦🌱。

 

ももちゃんのおかきだより~part6~

皆さんこんにちは

株式会社米菓桃乃屋の更新担当の中西です。

 

~製法の科学:米と水と熱がつくる「カリッ&ホロッ」🧪🔥💧~

 

1|原料米の選定:食感の80%は米で決まる

  • うるち米:硬焼き・噛み応え重視。アミロース多め→パリッと割れ、歯切れ良い。

  • もち米:ソフト&膨化の伸びが良い。アミロペクチン主体→口溶け・香ばしさが華やぐ。

  • ブレンド比率:天候や新米/古米で吸水率が変わるため、目標水分(生地)を基準に逆算。

吸水と浸漬

米粒の中心まで水を入れる“浸漬”は、後工程の糊化と膨らみに直結。低温長時間で芯まで均一に。季節変動で吸水時間を見直すのが“歩留まりと均質化”の要です。

2|蒸し・製粉・成形:デンプンの糊化コントロール

  • 蒸し:80〜100℃帯でデンプンが糊化→粘弾性が出る。ムラは割れ・欠けの原因。

  • 製粉/臼引き:米の粒度で気泡の入り方が変化(粗め=ワイルドなヒビ、細かめ=均一で上品)。

  • 成形:圧延厚みは“焼成時間・内部水分・割れパターン”を決める設計変数。薄焼き=高温短時間/厚焼き=中温長時間が基本。

3|乾燥:内部水分を“閉じ込めず、逃がし過ぎない”

焼成前乾燥の目標は表層サラッ、芯しっとり

  • 過乾燥:焼成で焦げやすい、タレが弾く

  • 過湿:膨らみ不足、べたつき、保存性低下
    棚乾→温風乾の二段管理や、夜間・早朝ロットの微調整が歩留まりを救います。

4|焼成:メイラード反応と褐変の設計🔥

香りと色は温度×時間×水分の三位一体。

  • 一度焼きで“下地香”を作り、

  • タレ付け→追い焼きで“照り艶・キレ味”をのせる二段/三段が王道。
    網の温度ムラはローテーションで均す。職人は音(パチパチ)と香りで完焼タイミングを読む👃👂。

5|タレ:糖度とアミノ酸のバランス

  • ベース:本醸造醤油+味醂・砂糖。**Brix(糖度)**で粘度を、窒素分で旨味を設計。

  • 追い塗りの回数:1回=軽快、2回=照り強、3回=コク深。

  • 塗布温度:生地温が高いほど浸透が進み、香り立ちが濃くなる。

6|トッピングと後がけオイルの科学

  • 胡麻・青のり・七味:油脂分や精油が香りの“持続”を担う。

  • 海苔:水分移行でしんなりしやすい→個包装 or 食べ切り設計

  • 後がけ米油/ごま油:0.2〜0.5%の微量で香り“跳ねる”。過多はベタつきの元。

7|品質・衛生:HACCP思考で“当たり前品質”を仕組み化

  • CCP例:加熱温度・中心水分・金属探知・異物混入

  • 官能評価の型:割れ音・口溶け・後味時間(秒)をチームで数値言語化

  • 保存:水分活性と塩の吸湿性を意識。袋内の脱酸素剤はロットに合わせて最適化。

8|まとめ

「狙った食感と香り」は“米×水×熱×時間”の数式で再現可能。伝統の勘をデータで補助し、ぶれない看板商品を育てましょう。次回は商品開発&売場設計。小ロットでも利益を残すラインナップ戦略を解説します🧮✨。

 

ももちゃんのおかきだより~part5~

皆さんこんにちは

株式会社米菓桃乃屋の更新担当の中西です。

 

~おせんべいの歴史と地域文化:日本人の“カリッ”という記憶 🍘⛩️~

 

1|「米菓」というカテゴリーの成り立ち

おせんべいは広義の「米菓(べいか)」に含まれ、煎(い)る・焼く・揚げるなどの加熱工程で米のデンプンを糊化→乾燥→再加熱し、香ばしさと歯ざわりを作る日本独自の食品文化です。奈良・平安期に寺社の供物として“焼き菓子”が登場、江戸期には醤油醸造の普及・米流通の安定化・街道の発達を追い風に、行楽と土産文化とともに一気に大衆化しました🚶‍♀️🧺。

  • 寺社の門前:焼き餅・草餅などの供物文化が土台

  • 江戸の下町:醤油・砂糖の流通で“甘辛”の味覚が花開く

  • 街道文化:日持ちする携行食として旅人に愛用(塩・味噌・海苔で栄養と塩分を補給)

2|関東と関西、二大系統の違い

同じ「せんべい」でも、東西で“噛みごたえ”に明確な違いが生まれました。

  • 関東系(硬焼き):うるち米主体。バリッと硬め、醤油タレを染み込ませて二度焼き🔥

  • 関西系(やわ焼き/多様):素材や出汁の風味を生かし、軽い食感。えび・青のり・胡麻などの具材使いが巧み。

さらに、全国には多彩な“地の味”が存在。柿の種(新潟)や南部せんべい(岩手・青森)※小麦主体のものもあり、瓦せんべい(関西)など、地域の水・米・醤油・塩・海藻の違いが味の個性を育ててきました。

3|おせんべいと年中行事🎍

米は日本の祭事と不可分。ハレの日の贈答、法要の供物、地元祭りの縁起菓子としても役割を担ってきました。

  • 正月:干支や松竹梅の焼印入り、福を呼ぶ図柄が人気

  • 節分:豆菓子と合わせた「鬼は外」パッケージ

  • 新茶時期:緑茶との相性訴求。塩・海苔・わさび系が好相性🍵
    贈答文化の“意味”を物語化することで、店舗は価格以上の価値(ストーリー)を届けられます。

4|おせんべい屋の系譜と“手焼き”の魅力

手焼きは、火と水分と時間の三角バランスを身体で覚えた職人芸。

  • 生地の含水率で“膨らみ方”と“ヒビの走り方”が変化

  • 焼き網の温度帯(強火の遠火/近火)で香ばしさの質が決まる

  • タレの糖度・粘度・塗布回数で「艶・照り・浸透」が変わる
    ライブ感のある店頭手焼きは、香りで人を呼び込み、体験が記憶になってリピートを生みます。職人の所作は最高のマーケティング資産です✨

5|まとめ

おせんべいは“保存性の高い主食の化身”。歴史・行事・旅・土地の味が幾重にも折り重なった日本の食文化そのものです。現代のおせんべい屋は、この文脈を解きほぐして提供価値を再編集する「食文化の編集者」。次回は製造工程の科学へ。米粒がなぜ“カリッ”に変わるのか、現場で活きる理屈を紐解きます🧪🍘。