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ももちゃんのおかきだより~part5~

皆さんこんにちは

株式会社米菓桃乃屋の更新担当の中西です。

 

~おせんべいの歴史と地域文化:日本人の“カリッ”という記憶 🍘⛩️~

 

1|「米菓」というカテゴリーの成り立ち

おせんべいは広義の「米菓(べいか)」に含まれ、煎(い)る・焼く・揚げるなどの加熱工程で米のデンプンを糊化→乾燥→再加熱し、香ばしさと歯ざわりを作る日本独自の食品文化です。奈良・平安期に寺社の供物として“焼き菓子”が登場、江戸期には醤油醸造の普及・米流通の安定化・街道の発達を追い風に、行楽と土産文化とともに一気に大衆化しました🚶‍♀️🧺。

  • 寺社の門前:焼き餅・草餅などの供物文化が土台

  • 江戸の下町:醤油・砂糖の流通で“甘辛”の味覚が花開く

  • 街道文化:日持ちする携行食として旅人に愛用(塩・味噌・海苔で栄養と塩分を補給)

2|関東と関西、二大系統の違い

同じ「せんべい」でも、東西で“噛みごたえ”に明確な違いが生まれました。

  • 関東系(硬焼き):うるち米主体。バリッと硬め、醤油タレを染み込ませて二度焼き🔥

  • 関西系(やわ焼き/多様):素材や出汁の風味を生かし、軽い食感。えび・青のり・胡麻などの具材使いが巧み。

さらに、全国には多彩な“地の味”が存在。柿の種(新潟)や南部せんべい(岩手・青森)※小麦主体のものもあり、瓦せんべい(関西)など、地域の水・米・醤油・塩・海藻の違いが味の個性を育ててきました。

3|おせんべいと年中行事🎍

米は日本の祭事と不可分。ハレの日の贈答、法要の供物、地元祭りの縁起菓子としても役割を担ってきました。

  • 正月:干支や松竹梅の焼印入り、福を呼ぶ図柄が人気

  • 節分:豆菓子と合わせた「鬼は外」パッケージ

  • 新茶時期:緑茶との相性訴求。塩・海苔・わさび系が好相性🍵
    贈答文化の“意味”を物語化することで、店舗は価格以上の価値(ストーリー)を届けられます。

4|おせんべい屋の系譜と“手焼き”の魅力

手焼きは、火と水分と時間の三角バランスを身体で覚えた職人芸。

  • 生地の含水率で“膨らみ方”と“ヒビの走り方”が変化

  • 焼き網の温度帯(強火の遠火/近火)で香ばしさの質が決まる

  • タレの糖度・粘度・塗布回数で「艶・照り・浸透」が変わる
    ライブ感のある店頭手焼きは、香りで人を呼び込み、体験が記憶になってリピートを生みます。職人の所作は最高のマーケティング資産です✨

5|まとめ

おせんべいは“保存性の高い主食の化身”。歴史・行事・旅・土地の味が幾重にも折り重なった日本の食文化そのものです。現代のおせんべい屋は、この文脈を解きほぐして提供価値を再編集する「食文化の編集者」。次回は製造工程の科学へ。米粒がなぜ“カリッ”に変わるのか、現場で活きる理屈を紐解きます🧪🍘。